日本初!オランウータンなどの絶滅危惧種を守るバター石けんを作りたい!

はじめに

はじめまして!合同会社LIMONE(リモーネ)の緒方葉月と申します。

学生のときにマレーシアのボルネオ島へ行き、野生のオランウータンの追跡調査に参加しました。その後は、私たちの消費生活と遠い国に住むオランウータンなどの野生動物が絶滅に瀕していることが大きく関係していることを伝える活動を続けています。

 

天然林と野生動物と人々の文化を守ることができるバター石けんを作りたい!

私はこのプロジェクトを通して、“過剰な森林破壊により作られたパーム油※1 は、私たちのとても身近なところで使われているものである”ことを伝え、さらに売上の1%をオランウータンなどを保全する「認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパン」に寄付することで野生動物たちが住める森を増やしていくことに貢献したいと考えています。

今回作るバター石けんは、インドネシア・ボルネオ島の奥地(西カリマンタン州)で採れるテンカワン・ツリーのバターを約70%使用した、完全パーム油フリーの希少な石けんです。

さらにこのバター石けんは、私たちの肌を柔らげ、水分・油分を補い保ってくれる“美容石けん”。すべての方に体験していただきたい、新感覚の石けんです。

このバターを原材料として使用することで、残りわずかの天然林をパーム油生産などによる森林破壊から守り、天然林を残すことができます。※2

※1:パームやしから採れる植物油で、ポテトチップス、石けんなどの化粧品など世界中の製品に幅広く使われている油。
※2:この石けんを作る際に必要なバターを2kg購入するごとに、年間約7.4haの熱帯雨林を守ることができます。

 

「豊かさの背景には声をあげない弱者の存在」

 

スーパーマーケットに置かれている製品の約50%に含まれると言われている「パーム油」。赤道直下にあるボルネオ島※では、パーム油の原料であるアブラヤシを植えるため、広大な森林破壊が当然のように行われています。

パーム油はカップ麺やスナック菓子、チョコレート、シャンプーなどの化粧品にも多く使われ、私たちの生活を豊かなものにしてくれました。その一方で、地球上の陸地の半分以上の生物が生息するといわれている熱帯林では、現在オランウータンをはじめとする多くの野生動物が絶滅危機に直面しています。

※ボルネオ島とは、東南アジアのマレー諸島に位置する世界で3番目に大きな島。オランウータンなどの野生動物の生息地として知られ、世界でも稀に見る生物多様性の宝庫として有名な場所です。

 

今こそ恩返しを

パーム油は私たちの生活を豊かに、そして便利にしてくれました。
しかし、知らず知らずのうちに何の罪もない動物たちの未来を奪っていたのです。パーム油が採れる熱帯雨林は「地上の生物種の半数以上が生息する」ともいわれ、その生態系を維持、保全していく優先順位の高い場所です。

お肌にもやさしい美容石けん「ボルネオ島の絶滅危惧種を守るバター石けん」を使うことで、熱帯雨林や動物たちに恩返しをしませんか?

 

野生動物保全への思い

守られるべき自然が今...

“世界の熱帯雨林の代表”であるボルネオ島では、現在大変なことが起きていることを私は身をもって知りました。

飛行機でボルネオ島に着陸すると、一見、緑豊かな土地に見えた場所は実際はアブラヤシのプランテーションでした。世界で3番目に大きい島であるボルネオ島は、今やアブラヤシのプランテーションと化してしまっていたのです。現地に行く前にイメージしていた、カラフルな野生動物が身近に住む「夢のような生命の宝庫」とは一変していたことに衝撃を受けました。

野生のオランウータンとの出会い

実際に野生のオランウータンの追跡調査にも参加し、蒸し暑いジャングルの中を何時間も歩き、やっと見つけたオランウータンは食べるものが減って痩せてしまっていました。

このオランウータンの生活を危うくしている原因の一つである、アブラヤシから採れるパーム油※は、普段私たちが何気なく口にしている、もしくは使っているもののほとんどに含まれているものだと知りました。

※「原材料名:植物油脂」と記載されることが多いです。スーパーなどで商品パッケージ裏面に記載の製品ラベルを見ていただければと思います。

オランウータンの生死は私たちに委ねられている

アブラヤシ栽培の拡大などにともなう森林破壊によって、元々野生動物が暮らしていた森が一瞬のうちに消え去り、今やオランウータンなどの貴重な野生動物が絶滅に追いやられていることを目の当たりにして、大きなショックを受けて帰国しました。

それからも、スーパーなどで手に取る商品が遠く離れたボルネオ島で出会ったあのオランウータンが今日明日無事に暮らしていけるかに大きく関わっているかもしれないと思うと、胸が痛みました。

それ以来、ボルネオ島の森林保全のために何かしたいとずっと考えていました。

 

伝えるエコなオランウータンカップ製作・販売

「エコ&おしゃれなものを通して、ボルネオ島で起きていることを知ってもらえないだろうか?」と考え、2019年の秋に「世界初!オランウータンを守る『オリジナルエコーヒーカップ』」と題したクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げました。これは私にとって、とても大きな挑戦でした。

このプロジェクトは、皆さまの温かいご支援のおかげで、目標金額の359%ものご支援をいただき、無事に達成となりました。

またオランウータンカップの売り上げの3%は、開発により分断してしまった森を買い取ることでつなぎ直し、生物多様性を保全する取り組みをしている認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパンに寄付し続けています。

2020年にはソーシャルプロダクツアワードを受賞しました。

 

もっと直接的にボルネオ島の森林保全に貢献したい

オランウータンカップは、カップの絵柄を通してボルネオ島で起こっていることを伝えていますが、以前よりボルネオ島の森林保全にもっと直接的につながるプロジェクトを模索していました。

日々皆が使っている身近なもので、“使えば使うほどにボルネオ島の森を守ることにつながるもの”はないか・・・

そんなとき、ボルネオ島で採れる植物バターを輸入・販売している方(合同会社TEMBAWANG 代表 広若氏)を紹介していただきました。

話を聞くと、まさに私が求めていた“森林を直接守ることにつながるバター”でした。

テンカワンという木の実から採れるバター「ボルネオ・ナッツ・バター(写真上、以下バターと記載)」は、現地では昔から食用油として使われてきたものだそうです。

「残された天然林からの産物を使うことでその森を守ることができる」

そう知ったときに「このすばらしいバターを知ってもらって、生活の中で使ってもらいたい!」と思いました。

 

ボルネオ・ナッツ・バターの可能性

手始めに、そのバターを使用したハンドクリームを購入して使ってみました。口コミでも好評の通り、明らかに手肌に良い植物バターだということを実感しました。

さらに現地の歴史ある民族であるダヤク人という人々がいて、彼らはそのバターを生活の一部に取り入れ、共生してきたそうです。それが残されたわずかな天然の森を残すことにつながり、結果、パーム油のための森林破壊から守ることができることを知りました。

つまり、バターを必要としている市場がある限り、そこに生き続けることができる文化・森・人々の存在があるということです。

私はこれを知ったとき、まさに雷に打たれたように自分のやるべき使命を感じました。

 

社会・環境問題解決に貢献できるバター石けんの開発

そこでさっそく、季節問わず使え、かつほとんどの方が毎日使っているものを、このバターを使って作れないかと考えました。

そのとき、実は以前から身の回りにある製品で、「どこで、誰がどうやって作っているのか知りたい、納得して使いたい」と願っていたものがあり、私の中で1本の線としてやっとつながりました。

それは石けんです。

世の中には多くの石けんが存在していますが、すべての石けんの基本として使われている“石けん素地”が、そもそもパーム油を使っているのか、メーカーに確認しないと消費者にとっては分からないことが多い。

「存在しないのであれば、自分で作ろう」

石けんは、地味だけれども毎日生活の中に登場するシーンが多い“名脇役”です。

使っている人が多く、使う場面が毎日あるということは、それだけ大きなインパクトを与えられる。必要不可欠なアイテムだからこそ、取り入れてほしい。そう思い、ボルネオ・ナッツ・バターだけを使った石けんを作ることにしました。

 

石けんの商品概要

・販売名:ボルネオ・バター石けん
・全成分:ショレアステノプテラ種子脂、水酸化Na、水
・パッケージ:FSC認証紙

【材料のボルネオ・ナッツ・バターについて】

・正式名称:Organic FFL Illipe Butter RBD 
シアバターと比べ、特にパルミチン酸を多く含みます
・インドネシアにて、溶媒不使用による圧縮抽出
・オランダにて、オーガニック認証済みの精製~脱色~脱臭工程で製造
Fair For Life認証(環境と人権を守るための基準)取得済み

【石けんの使い方】

市販の石けんと比べ泡立ちがそれほどよくありません。そのため、泡立てネットのご使用をおすすめいたします。

 

実際に使ってみた方からのお声 

さいごに

私は、このバター石けんを使うことで大量生産、大量消費から抜け出し、今叫ばれている「地球1個分の生活」にシフトし始めていく世の中になっていってほしいと願っています。

またボルネオ・ナッツ・バターを生み、野生動物たちにとっても大切な存在である天然林「テンバワン」の保全に少しでも意識が向くようになる世界を、このプロジェクトを応援してくださる皆さんと一緒に目指したいです。

ボルネオでの経験から始まり、オランウータンカップを販売、講演会やワークショップなどの経験を集約して完成したバター石けんです。

一度、ぜひお使いになってみていただけたら嬉しいです!

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【プロフィール】

緒方葉月(おがたはづき)

1989年8月8日生まれ。茨城県牛久市出身。
現在2歳の男児の母。

大学院在学中にマレーシアのボルネオ島へ行き、そこでみた野生のオランウータンとの出会いがきっかけとなりエシカルな商品を販売する合同会社LIMONE(リモーネ)を立ち上げる。

オランウータンとの出会いからはじまったエシカルストア「Ethical Giving(エシカルギビング)」の運営、イベント出店、講演やワークショップを通してパーム油と野生動物たちの絶滅に関して普及啓発活動を続けている。